カテゴリー「 古書店シリーズ 」の記事

12件の投稿

「アンタの手、あったかいな」「そうかな? でもジュリオの方が温かいよ」  子供体温?、なんて茶化したら烈火の如く怒られた。でもこれは確実に私が悪い。 本当はなんとなく気付き始めていた。ジュリオが見た目と同等ではないという …
「あんまり甘くなくて美味しい。私好みだ」「ほんと? 良かった」  コンフィチュールを付けたワッフルが美味しくて笑みを漏らしつつ呟くと、ジュリオが嬉しそうに目を輝かせた。 「うん、美味しい。そういえば、最近は甘さ控えめ?」 …
「えっと…せっかく木イチゴのコンフィチュール作ったからさ、味見して貰おうと思って」  とって付けたようにつけたされる言葉。 木イチゴのコンフィチュール……ジャムの匂いだったのか。 入った瞬間に気付いた甘い香りは。 好き勝 …
 今日も私は通い慣れた道を行く。 この道を通るようになって何回目だろう。 私はいつの間にか、あの少年店主ジュリオの言う通り、常連客になっていた。 予言は大的中というわけだ。  まぁ、本の種類は図書館よりも豊富だし、何より …
「さぁてね」  あとはー、と言いながら少年は私の前に十冊程本を重ねると店の奥を指差した。少年の黒髪が揺れる。 促されるままに視線を向けると、そこには柔らかそうなソファとテーブルがあった。 「そこにソファとテーブルあるだろ …
「へぇ、面白い事調べてるんだ。レポートかなんか?」  そうだ、と頷くと少年は暫く何事か考え始めた。しかしすぐに、ぽんっ、と手を叩くと近くの本を数冊、私の前に積み上げ始めた。何事か、と戸惑う私は少年に尋ねる。 「この本は? …
 確かにこの店の品揃えは目を見張るものがあった。専門書から名もない人が出した論文まで何故か置かれている。さらりと眺めてみただけだが図書館よりも品揃えは良い。これなら探しているものもあるかもしれない。気合いを入れて、私は再 …
 中に入ると螺旋階段があった。 なんだこの店は。  そのフロアにあるのは、私が入ってきた入り口と簡素な書棚とソファくらいだ。しかし古本屋独特の匂いが漂っており、やはり本はどこかにあるのだろう。  この部屋にないとすると、 …
 狭い路地を歩いていると、まるで自分がネコになったような気になる。  そっと足を忍ばせて……。  別に忍ばせる必要など無いのだが、誰も居ない路地を歩くと私の足音だけが響いてどうにも居心地が悪い。  だから必然的に足音を消 …
 大通りに入っても、やはり人通りは少なかった。  通り沿いにある店の入り口もがっちりと閉められていて、なんだか入りにくい。  しかし、今日は日用品を買いに来た訳でも、花を買いに来た訳でもない。  私はレポートに必要な本を …
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