「えっと…せっかく木イチゴのコンフィチュール作ったからさ、味見して貰おうと思って」
とって付けたようにつけたされる言葉。
木イチゴのコンフィチュール……ジャムの匂いだったのか。
入った瞬間に気付いた甘い香りは。
好き勝手にやってていい、と言った割には、ジュリオは私が来る頃に合わせてティータイムに入るらしい。
自分の分も持ってきて私の前に座る。
そういえば、最近はわざわざ手の込んだものを作ってくれている。
そのことがジュリオに歓迎されているように思えて、余計に嬉しくなって私は笑みを浮かべる。
いや、実際歓迎されているのだろう。
くすくすと笑いが漏れる。
「ちょっ……何笑ってんの? 別にアンタが来るから作ってた訳じゃないからねっ! って、聞いてる?」
聞いてるよ、と返しながら私は有り難くその紅茶に口を付けた。
胸に優しい気持ちがあふれ出す。
やはり此処は居心地が良い。