今日も私は通い慣れた道を行く。
この道を通るようになって何回目だろう。
私はいつの間にか、あの少年店主ジュリオの言う通り、常連客になっていた。
予言は大的中というわけだ。
まぁ、本の種類は図書館よりも豊富だし、何より興味を惹かれるものが多い。
図書館に居るよりずっと有意義だし、ジュリオとの会話や素敵なティータイムまで付いてくるのだから至れり尽くせり……というわけだ。
ついつい、調べ物をしながら脱線してしまったりもするが、私は居心地の良いこの古書店に居座るようになってしまっていた。
苦笑しながら、私はいつものようにその小さな扉を開ける。
螺旋階段を上がっている途中で、少し嬉しそうな声が聞こえた。
「あぁ、いらっしゃい。今日はもう来ないのかと思ったよ」
以前は、やる気のなさそうなどうでもいい態度だったのに、最近は私の訪問を楽しみにしていてくれるようで何故か嬉しい。
それに笑顔で迎えられるとやはり嬉しいものだ。
ただ……少し……、ジュリオの笑顔は特別な気がするけれど。
「講義が長引いてしまって……あぁ、私が来るのを待っててくれたんだ?」
そんな風に告げたら、頬を膨らまして睨んでくる。
どうやらお気に召さなかったらしい。
最近はこんなやりとりもするようになってきていた。
私は苦笑しつつ、からかうのをやめていつもの席に着く。
するとまだ不機嫌そうな表情を残しつつも、ジュリオは私の目の前に紅茶とワッフルを置いた。