大通りに入っても、やはり人通りは少なかった。
通り沿いにある店の入り口もがっちりと閉められていて、なんだか入りにくい。
しかし、今日は日用品を買いに来た訳でも、花を買いに来た訳でもない。
私はレポートに必要な本を探しているのだ。
だが、そのお目当ての古書店が見当たらない。確かこの辺りにあったと記憶していたのだが、あまり頻繁に街まででてこないため忘れてしまった。
貧乏学生の街での買い物などたかが知れている。食料品や日用品くらいのものだ。
軽く溜息を吐きつつ立ち止まって辺りを見渡してみるが、そこに古書店は見当たらない。
私は目の端にうつっていた細い路地を眺める。
「裏通りか……」
表通りに無いのなら裏通りを探してみようと思い立ち、私はひょいと小道にそれた。