地上には奇妙な置物を作り、様々な仮装をして悪霊やいたずらな精霊を退ける風習があるらしい。 海にはそんなものはなくて、私は想像が追いつかない。 首を傾げる私を見て、実際に見たことのあるフクロウが楽しそうに語る。トリック・ …
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教室を橙が染め上げる中に、一人の少女がいた。窓際の席に座り、夕陽に何かを透かしながら眺めているようだった。 少女の座る席には、花が生けられている。その席の持ち主は、先日亡くなった。親しかったわけではなかったけれど、私も …
ボクは鍵を持っている。 これは家の鍵ではない。もちろん何かを開けるためのものだというのは分かるけれど、どうにも思い出せない。どこかボクの知っている場所の鍵だったら良かったけれど、いつの間にかこれを持っていたみたいだ。 …
紙ヒコウキはこちら カラン、と硝子の瓶の中で音が鳴る。 太陽の光に輝いて冷たい瓶から雫が零れた。 「つめてー!」 でも美味い、と紀更は笑みを浮かべて隣に座る伶蒔を見つめる。 屋上の日陰になってる部分で、二人は学校 …
■□■ 紙ヒコウキに込める思いは 何処まで飛んでいくの ■□■ 今日も少年は学校の屋上から夕日を眺めていた。 それはいつものことで、少年は夕日に染まる街を眺めているのが好きだった。 真っ赤に染まっていく景色。 そして …